何たる迷惑であることか!

独自の路線で生きています

自由人的せいかつ(ふた月め)

 この地に越してきて三ヶ月が経とうとしている。この一ヶ月半でやったことの振り返り。

 
無職に飽きたのでハロワに行く

 小人閑居すれば不善を為すとはその通りで、にわか専業主婦を勤めてみたものの、思った以上に主婦業は難しかった。朝食→見送り→掃除→洗濯→昼食→買い出し→夕食とデイリー業務は絶えずあるが、時間配分は全て個人裁量、監督者も評価者も無し、同僚も無しの環境は自己管理ができない人間にとって有害でしかない。つまり、メリハリに欠けるのである。

 三食昼寝付きで大層なご身分と思われるかもしれないが、家族も知人も、人間関係がごっそり無くなった環境で自由時間だけひょいと渡されても憂鬱になるばかり。こちとら元が社畜、人に尻を叩かれる環境には順応できても、自己管理する技術がないので時間を持て余してしまうのだ。

 わたしはそこそこぼっち耐性が高い人間であると自負してきたが、今回の体たらくは想定外だった。自分でも知らないうちに、学校や会社などの「箱」に依存していたからこそ、孤独に耐えられたのだろう。

 というわけで、離職票も届いたことだし市のハローワークに出かけてきた。ハロワといえば「おそ松さん」で六つ子が追い返されてるイメージくらいしかなかったが、まさか放映の半年後に自分がお世話になるとはつゆ知らず。あ、職員さんはいい人ばかりで、とても親切にしていただきました。

 でも、退職するなら次の職場を見つけてからのほうが絶対にイイと、、、思うよ、、、

 

 我が家に車は一台、それはパートナーが通勤用に使っているので、実質的に私用の車は持てない。越したばかりで土地勘もないし、車社会で足がないのは致命的、というわけで早急な就職は不可能、と考えて、ひとまずハローワーク主催の職業訓練を受けることにした。

www.mhlw.go.jp

 

 職業訓練についてはこちらの記事が詳しいです。

 

pha.hateblo.jp

 

 わたしはハロワに相談に行った時点で失業期間一ヶ月目だったので、職業訓練を受けたい場合、まずは「公共職業訓練」の適用となる。「公共職業訓練」は、雇用保険の受給者が対象であり、授業料は無償、交通費も支給される。なおかつ雇用保険の受給期間が延長される、というメリットいっぱいの制度なのだが、残念ながらこの時期に受けられる公共職業訓練に受けたいコースがなかった。

 ただし、同時期に申し込み開始の「求職者支援訓練」に受けてみたいコースがあったので、担当者の方に相談→複数回の面接を経て、職業訓練に応募。入学試験は面接試験のみで、先日晴れて合格通知をもらった。

 

 求職者支援訓練の場合、無償となるのは授業料のみで、交通費と教科書代は自腹となる(条件によっては月10万円程度の給付金を受けることも可能)。結局のところ、わたしにとってはお金よりも「約束があって通う場所がある」ことが大切なので、社会的リズムを取り戻すべく、頑張って通おうと思う。

 

 ちなみに、入学時の面接試験では、やたらと「協調性はありますか、ひとと上手くやれますか」ということを聞かれた。そのあたり、親の顔色うかがい歴20年(最近やめた)先生のご機嫌取り歴10年(特に研究室で役に立った)太鼓持ち歴3年(上司に可愛がられるのは技術である、ただし女はその通りではない)、の本音を言えない、うわべのコミュニケーション技術はそれなりに磨いてきた元摂食障害患者には簡単すぎることで、「協調性には自信があります」と本心から答えてきた。

 憶測に過ぎないけれど、失業の理由が人間関係にあるひとは相当多いのだろう。

 

地縁を広げる

 先月半ば、パートナーの同僚の方からバーベキューに招かれた。同僚の嫁ハンとはいえ全き他人を、皆様は温かく迎えてくださり、とても救われた。リアルの人間関係がないせいで、少しずつ自分が透明になっている気がしていたところなので、リアルに泣き笑いする人間関係を得られて非常にホッとした。そのくらい、わたしは人との関わりに飢えていたのだ。

 

不妊検査に行く

 結婚してこの6月で2年が経過した、が、ベビーがまだ、、、だったので、不妊検査に行ってきた。結果から言うと女性側は問題なし。痛いと有名な子宮卵管造影検査も、お医者様のウデが良かったのかほぼ無痛で、あっけなく終わってしまった。しかしながら、安定の女性のみ受診。なので、不妊検査としては片手落ちである。パートナーの検査は彼の同意が得られなかったので受けていない。説得を試みたが、納得はしてもらえなかった。こればかりは本人が問題意識を持たないとどうにもならない。ありがちすぎる展開に、涙も出ない。悲しいかな、今、わたしにできることはここまでである。

 

 偶然にも、わたしが受けたクリニックは不妊治療を専門に行っており、とりわけ院長先生は「男性不妊の最後の砦」と呼ばれるほどの高名な方だったらしい。実際、初診に行ったら診察の前に一同ホールに集められ、院長先生直々に激励の言葉を頂いたし。不妊治療に対する先生の情熱をまざまざと感じた場面であった。

 

 とはいえ、日本は「世界一不妊治療の成果が上がっていない国」である。技術としては高くても、思想や社会条件などが「産めない社会」を作り出しているという。正直なところ、不妊治療に果敢にトライするのは女性、負荷の高い治療に苦しむのも女性、コストの割に低いパフォーマンスに悲しむのも女性(妊娠を望んでいるのに生理が来る悲しみは男性にはわかるまい)、なのに不妊原因は男女でほぼ均等、のアンバランスは現在「産めよ増やせよ」年齢ど真ん中の我々には悲惨すぎる現実を示している。不妊治療は確率の低いガチャみたいなもの、とは若い世代の実感ではないだろうか。結局のところ、未だ妊娠出産は神秘的な世界に閉じ込められているようだ。積み上がる悲嘆に比して、科学の進歩は遅すぎるのである。

 

不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」 (ブルーバックス)

不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」 (ブルーバックス)

 

 この本には不妊治療の現状と技術が詳細に書かれている。卑見によれば、ちょっと母体の高年齢化、卵子の老化に注目しすぎかなと思う。男性不妊の場合、「卵子さえ若ければ顕微受精すればいい」的なことが書いてあるけれど、それすら上手くいっていないのが現状だろう。。。

 

いっぱい本を読む

 図書館に一週間おきに通って、とにかく本を読んだ。特に地下鉄サリン事件オウム真理教を追った下記の二冊は圧巻であった。後に、書評をまとめるつもり。

アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)

 

 

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)

約束された場所で―underground 2 (文春文庫)

 

 

所感

 生活にはほぼ慣れた。季節柄気温が高いのも手伝って、早くもダレてきている。怠けることは楽じゃない。頑張れないことはしんどい。

 動けない時、つい自分を叱責する方向に行ってしまいがちだが、こういう時こそリアルな人間関係に触れて力をもらうことが必要なのだと思う。