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大乱闘!横浜市長選挙2021

 2021年、夏。

 横浜市長選挙には、総勢8人もの立候補者が現れ、混沌を極めていた。。。!

 

 詳しくはNHKが特集している記事を読んでほしい、と言いたいところだが。あまりに混沌としていて、記事を読んでもよくわからないのが正直なところ。

www.nhk.or.jp

 

 (横浜市長選挙に)立候補の意向を表明したのは8人にのぼり(中略)
最大の争点になるとみられるのが、横浜市が目指してきた、カジノを含むIR=統合型リゾート施設の誘致の是非だ。

  

NHKの特集記事を読む。まず与党サイド。

 

【与党サイド】

横浜市長である林氏(IR賛成)が、自民党から引退勧告を受けた

後続の立候補者が自民党から出なかった

なぜか国家公安委員長小此木氏(IR反対)が、閣僚を辞めて横浜市長選へ立候補

IR反対の小此木氏の出馬に反発した林氏が、4期目を目指して立候補

 

一方、野党の動きも混乱している。

 

【野党サイド】

 

立憲民主党が元大学教授の山中氏(IR反対)を擁立

同じく立憲民主党から弁護士の郷原氏(IR反対)が立候補

同じく立憲民主党から元横浜市議の太田氏(IR反対)が立候補

郷原氏が他の立候補者へ「落選運動」を展開するために、立候補を取りやめ

 

その他、元長野県知事田中氏(IR反対)、水産仲卸会社経営の坪倉氏、元衆議院議員福田氏(IR賛成)、前神奈川県知事の松沢氏(IR反対)が立候補した。横浜市市長選挙としては、過去最多となる8人が立候補し、それぞれがIRを巡って立場が異なる大混戦となった。スマブラじゃないんだからさ

 

以下、有力候補ごとに個人の見解を述べる。

 

林市長

 林市長は現在市長3期目、12年に渡って横浜市政を担ってきた。。。が、IRにこだわりすぎの印象を受ける。例えば、横浜市が抱える問題として、喫緊の課題は新型コロナ対策である。2021年8月3日時点での横浜市のワクチン接種率を計算すると、

 

接種2回を完了した人数      911,217人

横浜市の総人口                        3,778,876人

総人口における接種2回を完了した割合

911,217/3,778,876*100

=24.11344...

 

総人口377万人のうち、ワクチン接種を2回完了した人は約91万人(約24%)。

8月に至っても、横浜市全体の75%以上の人がワクチン接種を完了していないのだ。

 

【参考サイト】

www.city.yokohama.lg.jp

www.city.yokohama.lg.jp

 

 一応7月中に、65歳以下の市民宛にワクチン接種券付きの封書は届いたものの、あくまで「基礎疾患あり or 福祉施設で働いている方向け」の案内であり、それ以外の人間には「8月にご案内します」と書かれた手紙が入っていただけであった。そして8月10日現在、「ワクチン接種のご案内」は届いていない。横浜市のような巨大な都市にとって、新型コロナ対策こそ全力を挙げて向き合う問題だと思うが、どうも行き届いていない印象を受ける。そのくせIR(カジノ)誘致については、強硬に進めている。

 

「IRは横浜の将来にとって非常に大事だ。現役世代が高齢者を支えていくことが厳しくなり医療や教育にお金が回らなくなってしまう事態に備えて、何とか経済を活性化させなくてはいけない。IRを家族で楽しめる場所にしたいし、観光都市として日本一安全な都市にしていきたい」

 

 そうまでしてカジノにこだわる理由がわからない。

 選挙公報には「コロナ対策に全力」と書いてあるんだけどねえ。。。

 

小此木氏

 管政権で国家公安委員長を務める小此木氏が、突然閣僚を辞めて、横浜市長選挙へ参戦した。それもIR反対の立場で。

 IR反対と謳ってはいるが、彼はIRを強行する管政権の閣僚であり、管首相から大きく影響を受けていることは間違いない。小此木氏の実態は管首相の傀儡ではないか?「IR反対」の言葉で、地元民の票を攫いたいだけではないのだろうか。そう思われても仕方のない背景だと思う。

 

山中氏

 元横浜市立大学教授で、データサイエンティスト。唯一のコロナ専門家、という触れ込みだが、この言説には疑問が残る。

 疑問の根拠は、立候補しようとして辞退した、弁護士の郷原氏のブログである。

go2senkyo.com

 

出馬会見等で「データサイエンティスト」を標榜し、「IRによるギャンブル依存症増加、治安悪化がデータから明らか」「データに基づく市政」「データによるコロナ対策」を行うなどとしていたので、それがどのようなものなのか、具体的な根拠と内容を問うものだったが、青柳氏の説明では、いずれも、具体的な根拠や内容はなく、単に、選挙向けに「データサイエンスの教授」の肩書を使っているに過ぎないことを認めざるを得ないとのことだった

 

 あくまで個人の見解に過ぎないが、「データサイエンティスト」なる者は、寝ても覚めてもデータを集めてグラフを描いて、ひたすらデータを表示して、データで語りたいものなのではないか?と思う。「八割おじさん」こと、西浦博氏のように。

www.buzzfeed.com

グラフばっかりだ!

 

 データサイエンティストを名乗るのであれば、存分にデータを用いて議論をして欲しい。それをしないのなら、「データサイエンティスト」という響きだけが政治に利用されることとなる。ええー。。という感じ。

 

 ちなみに、ギャンブル依存症の恐ろしさについて、データを用いた議論は、こちらの本に詳しい。

 

  序章から衝撃の展開すぎて震える。パチンコ屋の駐車場で、車に子供が放置される痛ましい事件。実はギャンブル依存症の症状だって知ってた?

 

松沢氏

 googleで「横浜市長選挙」と検索すると、どこでトラッキングされたの知らんが、この方のバナーが出てくる。「30代、40代に迅速なコロナワクチン接種を!」魅力的な響きだ。

 さすが日本維新の会所属だけあって、宣伝は抜群にうまい。前神奈川県知事だけあって、横浜にゆかりもあるだろう。

 しかし、維新の会の引き起こした現実は、大阪のコロナ惨禍を見ればわかる。横浜の水道を民営化されたりするのは嫌すぎるし。

 「わかりやすい庶民の味方」を演じる政治家の行く先は、「庶民感覚」で公共サービスを切り落とし、弱い者から民衆を棄てていく地獄に他ならないのだ。

 

web.sapmed.ac.jp

 大阪の死者数が何度見てもえぐい。。。人口は東京の6割くらいしかいないのに。

 

締め  

  理由はわからないが、与党も野党も横浜を手に入れたいらしい。横浜は、権力者にとって「ちょうどいい街」ということなのだろうか?自分が育った街、横浜が権力者に小突き回されるのは御免被りたい。

 

 与党勢がIR=カジノに拘泥するのは、2000年代に打ち出された観光立国の幻想があるからだろう。製造業が頭打ちになり、少子化で人口ボーナスも期待できない日本で、カジノを売りにインバウンドを呼び込もうと思ったのだろうか。

 しかし、現実を見ればインバウンドの効果は期待外れだった。経済効果は確かにあった。反面、地元民の生活はインバウンドに押しやられ、破壊される。この破壊は不可逆だったりする。また、コロナの脅威により、観光業に賭けるのは危険すぎることがわかった。災害にテロに疫病に、観光業の土台は有事に対してあまりに脆弱なのだ。観光立国とは、砂上の楼閣に過ぎなかった。

 

qjweb.jp

 

極論すれば、自動的に発生する巨大な観光業的旨みがあったからこそ、日本の権力層は「IOCの国際的な利権コントローラーの靴のウラを舐める」ふるまいに出たともいえるわけで、そのシナリオの成功確率は限りなく高く、ある意味で五輪競技そのものはダシというかオマケといっていい存在だったかもしれない。けど皮肉なことにコロナ禍の影響で、「リアル集客」という肝心な部分だけがダメになってしまったのです。 

  それでも成功した部分があるから、与党勢にとって幻想を捨て去るのは難しいのだろう。とはいえ、現実を見ない組織は滅びる運命なのだ。生き残るためには、観光立国という幻想は捨てて、新たな経済政策を打ち出すことだ。

 

 私が望むのは、科学的なデータを基に議論を尽くし、誤った方向に進んだら軌道修正できる政治である。

 横浜市長選挙は大混戦となっているが、たかが一票、されど一票。無駄にはしたくない。

senkyo.city.yokohama.lg.jp