2024年の読書まとめ
もう2025年だけど―特に気にすることはなく―2024年に読んだ本の感想を書いていく。
気象遭難
2023年冬から読み始めた、羽根田治氏の「遭難」シリーズ。滑落、道迷いなど遭難の原因は数多あるが、気象が原因の遭難が最も苛烈なもののように思う。まるで、山が定期的に生贄を欲しがっていて、たまたま出くわした人間を持っていくかのように。
ちなみに、遭難シリーズでは男女問わず遭難者が出てくるが、男性の遭難者は一発逆転を狙って無謀な一歩を踏み出した挙げ句に滑落→遭難、の転帰がやたら多かった。女性の場合は体力不足が遭難の主な原因であり、滑落する例は無かった。
「ルフィ」の子どもたち
少し前に話題になった「ルフィグループ」こと特殊詐欺グループの実態に迫った一冊。「闇バイト」など、若い世代の犯罪傾向について綿密に描かれている。
興味深かったのは、犯罪へ至るまでの導線が男女によって全く違うこと。女性の場合、複雑な生い立ちや恋愛、妊娠など様々な背景があってようやく犯罪を犯すに至るのに対し、男性の場合は 金に困る→犯罪に走る のワンパターンしか無かった。組織が巧みに犯罪へ誘導している、という背景はあるだろうが、男性のほうが犯罪までの動線が短いのかもしれない。男はカネに困ったら即犯罪、の一本道。
やはり人間は初見の出来事に弱いので、「地元最高!」などの半グレに関する本を読んで、免疫をつけた方がよい。「地元最高!」は社会のワクチンだ!私はこはるさん推しです!
1945年のクリスマス
2024年のベスト本。
日本国憲法に男女平等、女性の権利を加えたベアテ・シロタ・ゴードン氏の自伝。
ロシア系ユダヤ人であるシロタ一家は、ヨーロッパでのユダヤ人迫害を逃れて日本へたどり着いた。日本でピアニストとして活動する父と共に、ベアテ女史は日本で少女時代を過ごす。成長してアメリカに渡ったベアテ女史に、太平洋戦争の終戦後に与えられた仕事は、理想の憲法であった「日本国憲法」に、女性の権利を書き記すことであった。
大日本帝国憲法に無かった権利を書き加えてくれたことについて、日本女性としてシロタ女史には感謝しかない。そして、抑圧され(続けている)日本女性へ、人権を憲法に規定してくれたことの根底には、「親切」があったように思う。少女時代のシロタ女史への、日本の名もなき人々の一度限りの親切が、憲法につながった。
「愛は残らないかもしれないが、親切は残る」。
名もなき人々の、見返りを求めない小さな親切が、偉大な歴史を作ったのだ。ドラマ「虎に翼」でも扱ってほしかったが、特に言及はなし。残念。
アルジャーノンに花束を
今更ながら、初めて読んだ名作。チャーリィが知恵を得て、人間を知り、人生を知り、同じスピードで全てを失って元の彼に戻っていったことは、悲劇だろうか、不幸だろうか。いずれネズミのアルジャーノンのように、何もかもわからなくなり、自傷の果てに死ぬ運命だったとしても、きっとチャーリィは幸せだったと思う。
生きのびるための事務
読書というよりは冒険をした、という読後感の本だった。とりあえず、無印のノートを買って、まっさらなページに何やら書き始めてしまった。私の人生にもジムがいてほしい。だからまた、ノートを開く。読むと元気になる本。





