何たる迷惑であることか!

独自の路線で生きています

どうすりゃいいのさ2020

公私ともに順調なはずなのに

 気がつけば2020年も10日近くが経っている。年々時間が過ぎるのが早くなる、なんて人は言うが冗談じゃない。小さい子供を育てている家庭にとって、1日は長く、1年はもっと長い。とりわけ去年は引越しをしたから、日々の充実度が更に上がった。2019年は10年近い濃さがあったように思う。

 子供が居てくれるということは本当に幸せなことで、しかし不安とも背中合わせの、何とも不安定な日々を送っている。毎日がジェットコースターに乗っているように、上がったり下がったりしながら過ぎていく。感情的になって怒鳴った一秒後に、えびす顔で笑っている。自分がこれほど情緒不安定で、凶暴で怒りっぽい人間だとは思わなかった。子供と接していると、実に自分が未熟で幼稚な人間であると思い知らされる。そして、そんな感傷すら一秒後には怒りや歓びにかき消されるのだ。

 

 幸いにして、子供は順調に育っている。託児所に行くたびに病気をもらってくるのはしんどいが、概ね健康だし、それなりに発達もしていると思う。一日でぐんと成長したりするので、毎日が新鮮で飽きない。一日が充実し過ぎて、疲れることも多いが。

 

 仕事の方も、細々ながら続けることができている。非正規社員で、技術も微々たるものでありながらも未だ雇ってもらえているのは、偏に社長の厚情によるものだ。社長としては慈善事業のつもりかもしれないが、めいっぱい感謝して今の仕事を続けていきたいと思っている。

 

 そう、ここだけ見れば、公私ともに順調そのものなのだ。途方に暮れているのは、私の実家の抱える問題についてである。

 

父、働かないってよ

 実父が15年ほど無職でブラブラしていることは以前書いた。

 

kinaco68.hatenablog.com

 

転勤して実家との距離が近くなり、週に一度、実母に子育て協力をお願いしているのだが、そこで聞いた話は私の想像を超えていた。

 

 父が無職になってから、両親の家計は父の退職金と母のパート代で賄ってきた。3年前に母の父(私の祖父)が亡くなり、ある程度まとまった金額の遺産が母に残された。その金額を見て、父の態度は豹変した。

「俺はお前の扶養家族になる」

 父は一切の生活費を母へ渡さなくなり、それどころか、母へ小遣いや医療費を強請るようになったのだった。月10万円程度の母のパート代は、両親二人分の生活費と父が強請る金額によって消えてしまい、更には赤字が出るようになった。こんな状態が、去年、私が母から聞き出すまで一年以上続いていたのだった。

 父は家事をほぼしない。父には年金が支給されており、そこから光熱費などの固定費は払っているが、それ以外の食費、医療費、小遣いなどは全て母に出させている。母は週4日のパートに加えて家の一切の家事を担っており、家事と仕事で疲弊しきっている。

 

どうすりゃいいのさ実家問題

 ざっくり言うと、いつまでも働かず家事もしない父を、家事も仕事もする母が養っている、という状況である。

 こんなん離婚だろ、とかまずは別居しろとか娘として言いたいことはいろいろあるが、まず母が日々の生活に疲弊しきっていて考える体力がない。また、D・カーネギーの言葉にあるように、「人間は他人に言われたことはやらない」ので、娘の私が言えば言うほど逆効果になる。母は基本的には素直でいい人なので、こちらの話は聞いてくれるが、意思決定となると絶対に他人の意見を受け入れないのである。

 

人を動かす 文庫版

人を動かす 文庫版

 

 

 どうすればいいんだろうね、という感じである。

 前記事にも書いたが、父は様々な挫折と個人の性向、および社会的問題によって「絶対に働かない」人間になってしまった。父は年々狭量でわがままな性格になり、被害妄想に蝕まれている。無職という状態は人間の精神をズタズタに破壊する、進行性の病なのだと父と会うたびに痛感する。

 母は母で、毎日の生活に追われて現実を見ていない。父はいつか就職するだろう、と思っていたらしく、その期待が何度裏切られても、何となく生活を続けてきてしまった。

 

 そう、「何となく」この地獄は出来上がってしまったのだ。誰もが一日を必死で生きているうちに、「何となく」デッドロック状態にはまり込み、息苦しさを感じながらも「何となく」やり過ごしている。

 このままでは、父が母のお金を使い切るであろう未来が訪れてしまう。一日一日、本人は倹しく暮らしているつもりで、どんどんとお金を使い続け、いつもお金の心配をしながら通帳の残額がゼロになる未来が見える。その時残るのは、年金の受給こそできるけれども、もはや働けず、健康にも不安しかない老人が二人だ。

 

 破滅を避けるにはどうすればいいのか?早い段階で母が父を「損切り」する、つまり別居や離婚などの手段で生計を別にするのが良さそう、ではある。母としても全く働かず、家事もせず、人の悪口ばかり言う父には完全に愛想が尽きている。しかし、動くのは面倒だ。日々の生活に疲弊しているし、何より娘に何か言われるのが気に食わない。娘の言うことを聞くぐらいなら、このままの状況でいたほうが楽だ、という気持ちなのだろう。

 

 去年、週に一度母に会うたびに私はいろいろな方法を提案してきた。

「民生委員に相談しよう」

「お父さんに手紙を書いてみたら?」

「弁護士に相談してみようよ」

「別居するなら新しいアパートを探さなきゃ」

 全て、無視された。カーネギーに言われるまでもなく、人間は「自分が決めたことでしか動かない」のだ。そう、私は間違っていた。私に変えられるのは私だけであって、他人のことなど絶対に変えられないのだ。

 

 ただ、このまま実家が破滅に向かっていくのに手を拱いているのも辛い。母が搾取され続けるのも、父が精神をどんどん病んでいくのも、放置するのは簡単だが、それは人の道では無いと思う。

 誰の人生も予測することはできない。もし、父や母に不測の事態が起こり、今生の別れが来てしまったら。今のままの状態で別れることになったら、きっと私はひどく後悔するだろう。

 

 もうダメかもわからんね。でも、諦めることも出来ないんだなぁ。