何たる迷惑であることか!

独自の路線で生きています

真夏の読書はホラーに限る

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 近所で撮影したアジサイを、PRISMAで加工したらこうなった。すごく……悪夢的。

 

 私の住む地域もようやく梅雨明けを迎えた。暑さもさることながら、相変わらず湿気が肺に重い季節である。

 地域柄、とにかくジメジメして気分が沈むので、図書館で湿気と無縁の文章---独断と偏見により、アメリカ文学ばかり借りて読んでいる。

 

 特に、夏はホラーを読むのが良い。ホラーといってもスプラッタなものは苦手なので、(楳図かずおセンセイの傑作「わたしは真悟」が限界。漂流教室は泣く)できれば精神的な怖さ、サイコ・ホラーを好む。なので、最近はスティーブン・キング一辺倒である。

  

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

 

 【感想】

 老いさらばえたナチスの戦犯と、健康にして傲慢極まりないアメリカ少年の奇妙な交流を描く。あまりにも大きすぎる犯罪により、少しずつ少年の精神が汚染されていく様が面白怖い。

どうでもいいが、会社員時代にこの本を会社のロッカーに置き本していた。仕事に息詰まったとき、無力感に打ちひしがれたとき、どうしようもなく虚しさに襲われた時に開いて読んでいた。一行読むだけでも、面白い小説を読んで没頭する時間は現実の辛さを忘れることができたから。

  

 

【感想】

_人人人人人人人人人_
> 映画と全然違う <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

 アル中の親父 v.s. できすぎた息子の構図が面白怖い。とりわけ、キング本人がアル中だったため、アルコールに対する精神依存が非常に鮮明に描かれている。アル中か〜ら〜の〜、DVの根底には常に無力感と被害者意識がある、という不恰好な真実。

 

 ちなみに「シャイニング」と言えばジャック・ニコルソンの狂気じみた顔芸があまりにも有名……と思っていたが、原作は全然違うじゃん! 不気味な双子は? 赤い津波は?? 原作は原作で物凄く面白いんだけど、特にダニーと同じ「かがやき」を持つコック・ハローランの扱いが違いすぎて……そりゃキングも怒るよなあ、と。

 

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  ホラーとは違うけど、スタインベックの「怒りの葡萄」も読んだ。アメリカ中西部の、どこまでも続く砂漠。読み進めるごとに、トラックのタイヤが巻き上げた砂埃が口の中に入ってくるようだ。アメリカ文学には湿度もなければ、甘えも、容赦もない。でも、スタインベックが描く人間、特に女はやたらカッコイイ。怒りの葡萄ならママ・ジョード、エデンの東ならアブラね。二十日鼠と人間で撫でるつもりが殴り殺されちゃった女は別ね。

 

怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

 

 

怒りの葡萄〔新訳版〕(下) (ハヤカワepi文庫)

怒りの葡萄〔新訳版〕(下) (ハヤカワepi文庫)

 

 

番外編

 アメリカ文学ではないが、小説よりもホラーだと思ったのがこちら。

無力感は狂いの始まり 「狂い」の構造2 (扶桑社新書)

無力感は狂いの始まり 「狂い」の構造2 (扶桑社新書)

 

 人間の狂気について、ざっくばらんに語りまくる。日本では一度にたくさん殺すタイプの殺人事件が起こるのに対し、アメリカでは連続して少しずつ殺す、シリアル・キラーが多いとか。それにしても、やっぱし人間が一番怖いよね、というありがちなオチ。

 

 第一弾も探したけど、本屋の棚になかった……

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

「狂い」の構造 (扶桑社新書)