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何たる迷惑であることか!

独自の路線で生きています

湿度

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  九州のアジサイは赤い。
 
 日本の土壌はそもそも酸性なのでアジサイは青いはずであるが、不思議な話だ。今まで目にしたアジサイは花の開き始めだけが赤く、あっという間に青く染まっていったのに、此方のアジサイはかなり長い間赤さを保っている。雨の中、それは立ち上る炎のように見える。
 
 引っ越して、約一ヶ月が経過した。しつこく梅雨前線のギザギザ模様が居座るせいで、とにかくよく雨が降る。特に最近は一日おきに猛烈な雨が降ったせいで、家中の何もかもが湿気でふやけている。いくら掃除しても床はべたべたで、家中にサーキュレーターを設置してひっきりなしに空気を動かさなければ、壁一面に黴が生えてしまうような気がする。一時間に50ミリの雨といえば、雨粒というよりは空から棒が降ってくるようなものだ。木々は雨に打たれて項垂れ、川は泥の色を呈する。その中で、アジサイの花だけがいきいきと咲いている。
 
  近所に良いジョギングコースを見つけたので、雨雲の切れ目を縫うように走る。絶え間なく流れ込む湿気で汗が噴き出し、肺に重くのしかかるが、走り出したからには半ばやけっぱちで走る。走るごとに見える山々には白い雲が掛かっていて、ゆっくりと別の山へ移動していく。まとわりつく湿気は実に不快だが、走り終えると必ず清涼感を感じられるので不思議だ。
 
 少しずつ、体が土地に慣れていくのを感じる。
 知らない土地、初めての水、変わった気候。何もかもがストレスである中で、走ること、体を動かすことを生命線に、生活を築いていくのだ。